(出典 www.awaodori-kaikan.jp)



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開催まであとわずか、だが…
徳島の夏の風物詩である阿波おどりが、主催者である徳島新聞の杜撰な運営によって、実に4億3000万円にものぼる巨額の赤字を積み上げているーー「週刊現代」6月3日号で、阿波おどりの運営に関する疑惑(「この夏、『阿波おどり』に中止の危機~徳島の地元財界は大騒ぎ!」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51853)が報じられて、およそ2ヵ月が過ぎた。8月12日の開幕まで、残り2週間を切っているなか、なにか状況に変化はあったのだろうか。

近年、問題となっているのが、徳島新聞による阿波おどりの「チケット買い占め」である。まず、徳島新聞とともに阿波おどりの運営にかかわっている、徳島市観光協会幹部に解説してもらおう。

「徳島新聞は近年、人気席を中心に毎年2~3万枚のチケットを確保しています。そのため、一般発売が始まっても販売直後に売り切れてしまう状況です。しかも、徳島新聞に流れた分は売り上げなどの詳細がわからないので、全てのチケットをオープンに販売する場合と比べて収益が低くなっているのが実情です」

さらに地元では、「徳島新聞が看板広告の集稿・制作を独占し、割高な手数料を取っている」「観光協会が資材を保管する倉庫を徳島新聞が『又貸し』する形になっている」といった指摘も出ている。

地元の市政関係者は、「『週刊現代』の報道以来、徳島は大騒ぎです。その後、フジテレビの『とくダネ!』でもこの問題が取り上げられたこともあり、阿波おどりの運営の実態が全国に知れ渡ることとなりました。7月に入ってからは、関西のテレビ局なども取材に入っています」と話す。

座席配分表を公開する
「週刊現代」に記事が掲載された直後、6月15日の徳島市議会では早速この問題が取り上げられた。すると驚くべきことに、徳島新聞は翌16日の紙面で「阿波おどり事業 累積赤字4億3000万円 演舞場改修など要因」という見出しで、赤字がさも初めて判明したかのように報じたのである。

しかし徳島新聞は、今年の阿波おどりも、運営体制を見直すことなく「例年通り」に実行しようとしている。

筆者は今回、今年8月12日から15日に開催予定の、阿波おどりの座席配分表の一部を入手した。オンラインでのチケット販売を担当する企業が取りまとめ、阿波おどり運営にかかわる関係者の一部で共有されている内部資料である。

阿波おどり本祭は、徳島市街中心部の街頭6カ所と、多目的ホール「あわぎんホール」の計7会場で行われる。特に観覧者の多い紺屋町や藍場浜など4つの桟敷演舞場のチケットは、総数10万枚ほどが用意されている。

屋内会場の「あわぎんホール」で行われるのは、技術レベルの高い「連(踊り子の団体)」のおどりを観覧できる「選抜大会」という枠。下記の座席表は、その某日程のものだ。


(出典 gendai.ismcdn.jp)


新=徳島新聞社、観=観光協会、大=大手旅行代理店。空欄の一部が一般販売席

「新」と書かれているのが、徳島新聞が押さえている座席。800あまりのキャパシティのうち、実に半数近くの約400席が占められている。

屋外の演舞場を観覧するための桟敷席も、同様の事態になっている。徳島市役所にほど近いメイン会場の一つ、南内町演舞場(一部)を見てみよう。紫色になっているのが、徳島新聞の押さえた座席である。


(出典 gendai.ismcdn.jp)


中央の空白部は演舞が行われるスペース




(出典 www.tokyoebisuren.jp)





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たった2分で完売、苦情が殺到
徳島市議会で阿波おどりの運営改善を主張する岡孝治市議は、怒りを露わにする。

「全日程・全会場を合わせると、徳島新聞は桟敷席(街中の屋外観覧席)だけで2万席近く押さえています。7月1日の朝10時にチケットの一般販売が開始されましたが、一般向けに割り当てられたチケットが極めて少なかったため、10時2分にはもう売り切れてしまった。おかげでその後、観光協会には苦情の電話が殺到しました」

こうしたことが常態化しているにもかかわらず、近年では実際に阿波おどりが始まってみると、座席に空きがみられることも珍しくないという。徳島新聞は、確保したチケットをいったいどうしているのだろうか。前出の観光協会幹部はこう話す。

「徳島新聞が確保した席は、同社のグループ企業や取引先などに優先的に販売されていると聞きます。また、会場に広告看板を出したスポンサー企業に対して、招待券として配ったりもしているようです。

最終的には、徳島新聞からチケットの売り上げが支払われますが、徳島新聞がどの席を誰にどれだけ売って、何枚売れ残ったのかといった詳細は、毎年明らかにされていません」

岡議員は、今年6月に阿波おどり実行委員会の委員に就任して以降、観光協会から資料を入手して「週刊現代」の記事内容を検証したという。

「2016年度の資料に目を通しただけでも、徳島新聞が人気席のチケットを占有している問題については、報じられたとおりでした」

そのため、岡議員は「阿波おどりの運営に関する悪しき慣習が浮き彫りになった。今こそ改革のチャンス」として、7月6日、実行委員会の米田豊彦委員長(徳島新聞社長)と観光協会の近藤宏章会長に対し「早急に阿波おどり実行委員会を開催するよう要請する」との書面を送付した。実行委員会で改めてチケット配分の実態を明らかにし、場合によっては再検討すべきだと主張したのだ。

しかし、それに対する回答は、「実行委員長(徳島新聞米田社長)の日程調整がつかないので、委員会は7月28日に開催することになった」という木で鼻をくくったような内容だった。岡議員が続ける。

「例年は6月に行われる委員会で、チケットの配分が形式的にせよ話し合われていたのですが、今年はそれさえ行わず、勝手に徳島新聞が配分を決めたのです。7月1日の一般販売に続き、7月15日からは観光協会と徳島新聞社が押さえているチケットの販売が始まる予定だった。

委員会の開催を遅らせ、『チケットはもう売れてしまったので、今年も例年通りでお願いします』と言うつもりなのでしょう。これだけ全国に悪事が知れ渡っても、何事もなかったかのように進めようとしているのです」

食い違う主張
阿波おどりを徳島新聞と共催する観光協会内部でも、こうした現状は問題視されている。前出の協会幹部が内情を打ち明ける。

「問題が報じられ、表面化した以上、我々も『一刻も早く実行委員会を開催すべきだ』と主張してきました。しかし、徳島新聞は『米田社長の日程が取れない』の一点張りで、頑として譲らなかった」

挙句の果てに、「7月28日に開催する」と明言していたはずの実行委員会は筆者の取材後、徳島新聞からの通達が出されて中止が決定し、開催されることはなかった。




(出典 i.gzn.jp)